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 そんなこんなで
ある日、期限切れのポラロイドフィルムをもらった。
しかも、10コも。なかば強制的に。
こんなに、もらっても、カメラないし、期限切れだし…。
よし、ないなら買ってしまえ。
単純な発想だった。いきおいというものはおそろしい。
そんな、買ったカメラと、期限切れフィルムを持って
写真を撮りに行ったのは、ある週末のことでした。
一枚、とりあえず撮ってみる、まったく問題なし。
しかも、なかなかいい色気。
それからというもの、毎週末には、ポラロイドを持って
写真を撮りに行くようになりました。
撮っては、ポケットにしまいこむ。ドラえもんにでもなった気分。
すぐにできあがるポラロイド。
写真の化学的な作業。現像、プリント。これをカメラがしてくれちゃう。
そんな、作業が好きな僕でも
この時期は
気分の開放という意味で、最適だったように思う。
週末というと、『今週も終わったな』という安心感。
『明日からまたはじまるぞ』というせつなさ、期待感。
あらゆる気分が、渾沌とうずまいている時に思えます。
この、どうにもならない小ささ。
この、なんともいえないせつない色気。
週末の空気感には、ちょうどよかったのではないだろうか。
小さいからわからないもの。
小さいからこそわかるもの。
大きいからわからないもの。
大きいからこそわかるもの。
見ようとしてみえる。
見ようとしてもみえない。
みえるのに見ない。
見えないのにみえる。
写真は複雑怪奇です。
そんなこんなで、これが僕の小さなウィークエンドです。

                   

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